陸自の個人装具(1)
最終更新:2007.12.25
このページでは陸上自衛隊の最新個人装具を中心に紹介します。何かの参考(?)にしていただければと思います(^^)
※各写真は、クリックすると別ウインドウで大きなものが表示されます。なお、旧型装具(といってもまだ結構つかわれてますが)については「陸自の個人装具(2)」で紹介します。
※基本的に、このページの情報はマスコミ等において公表されたもの、一般に公開状態となったものをまとめたものです。防衛上の機密に関する情報は一切扱っていません。
「戦闘装着セット」
「戦闘装着セット」とは、戦闘行動における隊員の生理的負担軽減により、一層の戦闘能力向上を図る目的で開発された隊員個人用装具一式(パッケージ)で、1992年頃より陸上自衛隊で本格的に導入が進められているものです。それまでの個人装具に比べ、遥かにシステマチックな構成となっており、任務に応じて適宜組み合わせて使用します。
セット最大の目玉は、旧型に比べ大幅にデザインが変更された迷彩服(戦闘服)。迷彩パターンの改良で目視による迷彩効果が飛躍的に向上しただけでなく、難燃性、暗視装置に発見されにくい近赤外偽装などが付与されており、ハイテク化が進む現代戦、将来戦を強く意識したものになっています。
その他の装具も旧型に比べ、より機能的に、取り扱いやすく改良がされているほか、迷彩生地の多用(従来のものはOD色中心)、積雪地以外用の防寒装備が充実したことも大きな特徴です。なお、戦闘装着セットに準じた装具として「2形(型)」と呼ばれる装具類が一部のアイテムにあります。これらは、外観上の仕様は戦闘装着セットのものと同じですが、近赤外偽装などが施されていないのが特徴です。また、戦闘装着セットが従来の個人装具と異なり被服を含め全て部隊装備品と同じ扱いなのに対し、2形装具は、従来どおりの個人貸与があります。なお、最近は素材やその他一部に改良を施した「3型」と呼ばれる装具類が導入されつつあります(外観は2形に類似したものが多い)。
以下、このページで紹介する個人装具は、2形(3型)装具を中心に概ね「戦闘装着セット」に準じた物です。
名称 | 主な派生型・備考 | 名称 | 主な派生型・備考 |
88式鉄帽、一般用 | 空挺用 | 戦闘靴2形、一般用 | 空挺用 |
戦闘鉄帽覆い | 戦闘雑納、一般用 | 空挺用 | |
戦闘帽 | 戦闘背嚢、一般用1形 | 空挺用、一般用2形、自由降下用 | |
戦闘服、一般用 | 空挺用、装甲用、迷彩服3型 | 防寒戦闘服外衣、一般用 | 装甲用 |
戦闘弾帯 | 長・短 | 防寒戦闘服内衣(外) | |
戦闘つりバンド | 防寒戦闘服内衣(内) | ||
戦闘弾入れ | 89式用(1形・2形)・64式用(共に大・小あり) 拳銃用 |
戦闘下衣 | |
戦闘救急品袋 | 戦闘手袋、一般用 | 空挺用、装甲用 ※一般用は迷彩柄手袋 | |
戦闘水筒 | 防寒戦闘手袋、一般用 | ※OD色軍手(厚手) | |
戦闘水筒覆い | 防寒戦闘手袋、保温用 | ||
戦闘シャベル | 戦闘雨具、一般用 | ||
戦闘シャベル覆い | 戦闘防弾チョッキ | ||
戦闘飯盒 | |||
戦闘靴、一般用 | 空挺用、装甲用 |
※リンクが張られているものは本ページ掲載アイテム(2形装具等による)です。
いわゆる「戦闘装着セット」開発の第一弾として、1988年に採用されたケプラー製いわゆる「フリッツ型」ヘルメットです。
重量は旧型(66式)鉄帽に比べ約300gほど軽量。
欧米人の頭に合わせて作られた米軍M1ヘルメットのコピーである66式鉄帽は、帽体重心が日本人の頭に合っていないため、装着時の安定性があまり良いものとは言えませんでしたが、88式鉄帽においては、そのあたりの問題が抜本的に改善されたことから、軽量化と合間って、長時間の着用においても、だいぶ疲れにくくなっています(確かにかぶった時の据わりはとても良い)。
内装やアゴ紐は格段の進歩があります(旧型はホントひどかった…)。内装は米軍の「フリッツ型」に似てますが、マジックテープでより簡単に脱着ができるようになっており、洗濯等のメンテナンス性を高めています。また、アゴ紐はワンタッチで緊縛・解放ができるタイプとなりました。
66式鉄帽では帽体のサイズが1サイズしかなく、厳密にはサイズ適合率が80%程しか無かったのですが、88式鉄帽では帽体に「大」「中」「小」の3サイズを用意することで、100%のサイズ適合を確保しています。防護能力も火力の威力増大を考慮し、66式よりもかなり強化された設計になっているようです。
ただ、一体型のため旧型のライナー(内帽)のようなかぶりかた(軽作業や車両操縦時の長時間着用)をするのには向いていないようで、その点は隊員から不評です(そのため旧型鉄帽のライナーを「軽作業用」として継続的に支給しています)。デザイン的には米軍の「フリッツ型」ヘルメットに比べると、かなり“浅め”のつくりになっています。これは米軍型の欠点である通風性の悪さや、音の聞き取りにくさを改善したためです。
最近では、鉄帽に装着する単眼式の暗視眼鏡(V8)の採用、各部隊への普及に伴い、内装やあご紐、鉄帽覆いなどに改良が加えられているものが増えてきています。
現在、中古での正規放出品は残念ながらほとんど出ていません。しかし、最近はレプリカで非常に出来の良い製品が出ており(キャロット製、その他など)、非常にうれしい限りです。私は現在、なんだかんだで3つのレプリカヘルメットを所有しています(^_^;)
★写真(レプリカ品)
1990年以降に登場したいわゆる「新型」迷彩〜“新迷彩”服。一般の目に大きく登場したのは雲仙普賢岳の災害派遣出動あたりからです。「戦闘装着セット」として本格的に導入が開始されたのは1992年秋から。カンボジアのPKOで後期派遣の隊員がこのタイプの着用していたのも記憶に残るところです。一般的に「2形迷彩」または最近では単に「迷彩服」、戦闘装着セットとして支給されたものは「戦闘服」と呼ばれています。
この迷彩服最大の特徴は、耐熱(難燃)性と対赤外線ステルス性(近赤外偽装)。これまでの作業服のレベルでは考えられなかった「ハイテク装備」の一つです。ただし、「戦闘装着セット」として支給されたもの以外は、近赤外偽装の機能がついていません(^_^; 近赤外偽装が施されているものは裏側に大きくその表示がされています。
デザイン的には旧型が上衣をズボンの中に入れるタイプだったのに対し、2ポケットタイプであるものの上衣を外側に出すスタイルになっています。また、ポケットの容量もだいぶ増え(ズボンの左右ハンドポケット・右臀部ポケットの追加、胸ポケットの大型化など)、全体として、旧型の問題点はかなり解決されているといえます(あくまで私の感想ですが)。
上衣の背中には、偽装の際、最も重要な肩のラインを偽装するための差し口(ループ)が取りつけてあるほか、肩や腕の動きを楽にするプリーツが設けられ、戦闘行動に対応するための様々な工夫がなされています。迷彩パターンは細かいいわゆる斑点模様。迷彩効果も、旧型迷彩が北海道の主要植生である「笹薮」でしかほとんど効果を発揮しないのに対し、オールラウンドで十分な効果を発揮します(ただし、「笹薮」では旧型のほうが良い気がする)。
下の写真の「春・夏用」の他に、茶系の色を多くした「秋・冬用」パターンが雪中用とは別に存在しますが、こちらは「戦闘外被」(フィールドジャケット)などの防寒用被服に使用されています(通常の迷彩服は全国一律「春・夏用」の色調のみしかありません)。尚、「春夏用」と同色彩、外見上ほぼ同デザインの「防暑服」もあります。
こちらは通常のものより薄手の生地でできているほか、背中のプリーツ内側がメッシュになっており、通気性の向上が図られています。
また、最近では従来のOD作業服の更新用として、迷彩服2形と外見上同デザインの「作業服(迷彩)」の導入が始まっているほか、一部仕様を変更した「迷彩服3型」が導入され始めています。中古での正規放出品で程度の良いものはほとんどありません。通常はPX品を入手するしかありません(ミリタリーサープラスショップでも流通してます)。
★写真(PX品)
2007年から、本格的に導入が始まった迷彩服2形の改良型。迷彩パターンに変更はありませんが、細かな形状が変更されています。
<2形からの変更点>
・上衣襟の形状が空挺服と同じ形状に。襟を立てた状態でマジックテープでの固定が可能になる。
・袖口留め方がマジックテープになる。細かなサイズ調節が可能に。
・左袖ペン刺しが大型化。より使いやすくなる。
・右胸ポケットの内側に、脱落防止用と思われるループを追加。
・下衣(ズボン)両裾に、小型ポケットを追加。車両乗車時などの小物収納、取り出しの利便を向上。
・下衣カーゴポケットのフラップ留め方がマジックテープに。フラップ形状を直線に変更。堅牢性を高め、より脱落しにくい構造に。
・下衣右臀部ポケットを廃止。利用頻度が少ないため。
全般に2形に比べ、機能性が大きく向上しています。襟の改善は、防寒だけでなく偽装効果向上(首の肌露出防止)の面からも極めて有用です。その襟の形状から、空挺服に近い印象を受けるデザインですが、空挺服と違い、前身ごろのファスナーやウエストを絞る紐がないほか、上衣ポケットデザインの違いで見分けがつきます。「迷彩服」「戦闘服」「作業服(迷彩)」は、今後、このタイプに更新されていく見通しです。
中古の正規放出品はしばらく先の話になるでしょう。新品はPX品が流通しています。
★写真(PX品)
迷彩服2形などと同時に採用になった防寒用戦闘服で、「戦闘装着セット」の1アイテムです。色彩は通常の迷彩服に比べて非常に茶色を多く配しており、秋〜冬・春先の色彩によりマッチするようになっています。
「外衣」という名が示すとおり、通常の迷彩服・戦闘服の上に着用。一般的に「戦闘外被」と呼ばれることも多いようです。これまで自衛隊にはOD色・雪中用以外の迷彩防寒服が無く、冬季に積雪地以外で訓練を行う場合、迷彩服の下にセーター等を沢山着込む等の不便があったのですが、この防寒戦闘服外衣の登場で、機能性が大幅に改善されました。雪中用にはこれとは別に白色のパーカー、オーバーズボン、オーバーブーツ等があります。
上衣は形状的に米軍のM65フィールドジャケットに酷似しおり、従来のOD作業外被と同じ4ポケットタイプ。全てのポケットタブにはスナップが付いていますが、OD色の金具が外出しになっていることでM65と区別できます。また、背中には通常の迷彩服と同じく偽装材取付け用の差し口(ループ)が付いているほか、M65と比べ、全体にゆったりとした作りになっているのも特徴です。
前合わせ部はファスナーとスナップの2重構造で、ファスナーは上下どちらからも解放が可能。襟にはM65と同じようにスタンドさせた時に左右を止めるマジックテープが裏側に付き、背面部にはフード格納用のファスナーが付いています。付属のフードは同色の迷彩生地でできており、鉄帽の上にかぶせられる大型の物となっています。
上衣には取り外し可能なキルティングのライナーが付属。取り外すとOD色生地の内張りが現れますが、脇下部がメッシュになっており、蒸れを防ぐ構造になっています。また、上衣外側の脇下部には通気用のハト目が付いているほか、ファスナーが設けられており、下に着た迷彩服上衣ポケットの使用を可能にしています。ズボンは脱着が容易な、両サイドがファスナーで開閉できるタイプ。ファスナーは上衣同様上下から開閉可能となっています。その為、通常の迷彩服のようなサイドのカーゴポケットは無く、そのかわり、右臀部にやや大きめのポケットが付いています。
また、裾にはスナップが付けられており、半長靴の上から裾を絞ることができるようになっているほか、膝の部分には、動きを楽にするためのタックが設けられています。
下に着る迷彩服のカーゴポケットを利用する場合は、サイドのファスナーを下ろして出し入れを行います。ただし、この場合どうしてもカーゴポケットの使い勝手は低下しますので、その辺が気になる場合は、上衣の下ポケット(カーゴポケットとほぼ同じ容量)に収納を移します。
全体に、旧型の防寒服、作業外被と比べると、非常に機能的にできており、しっかりとした作りになっています。
この外衣には、耐熱(難燃)性が付与されていますが、近赤外偽装の機能については不明です。
こちらは比較的程度の良いものを含め中古の正規放出(払い下げ)が確認されています。新品はPX品が流通しています。
★写真(中古放出実物)
迷彩服2形などと同時に採用になったと思われる空挺服です。迷彩服2形、戦闘服の空挺バージョンです。一般用との違いが随所に見られ、空挺降下という任務に耐えられるように作られています。
まず、上着で目に付く違いは襟の形。一般用に見られる切り欠きがなく、一番上のボタンを締めると自然に襟が立つよう(ウインドブレイクポジション)にできています。また、襟の裏側には左右の襟を止めるマジックテープがあります。上衣前合せ部はボタンだけでなく、さらに内側をファスナーで閉じるようになっていて、風の進入を食い止めます。ウエストはしっかりとフィットさせることができるよう、紐で絞り込むことができる他、ポケットのタブの形状、その止め方(スナップ式)、袖口の止め方(スナップ式)、袖のペン刺し部分などの仕様が一般用と違うものになっています。なお、ペン刺し部分左側の小さなポケットは“耳栓入れ”です。
ズボンでは、裾に追加された小ポケット、各ポケットタブの形状とその止め方(スナップ式)に違いが見られるほか、臀部の生地が2重になっており、よりハードな使用に耐えるよう工夫されています。
全体に一般用に比べやや細身に出来ているのも特徴です。この迷彩服にも、耐熱(難燃)性と対赤外線ステルス性(近赤外偽装)が付与されています。ただ、こちらも「戦闘装着セット」として支給されたもの以外は、近赤外偽装の機能がついていません(^_^; 近赤外偽装が施されているものは裏側に大きくその表示がされています。最近では、一部仕様変更された「空挺迷彩服3型」の導入が始まっています。
こちらも中古の正規放出品で程度の良いものはほとんどありません。新品はPX品が流通しています。
★写真(PX品)
こちらも迷彩服2形などと同時に採用になったと思われる戦車乗員用の服です。迷彩服2形については装甲用の官給品が存在しない(すなわち装甲用は“戦闘服”のみ)と言われていますが、官給品ではないPX品を取り上げますので、敢えてこの名称を使わせていただきますことを、予めご了承ください。迷彩服2形 一般用との違いが随所に見られ、戦車内という特殊な環境を想定した作りになっています。
全体のデザイン・印象から行くと「一般用と空挺用を足して2で割った感じ」と言ったところでしょうか。まず、上衣で目に付くのは襟の下、背中に取り付けられた装甲用独特の救助用の持ち手。戦車内から救出の際、ここを持って乗員を引き上げることを想定していますが、上衣のみが脱げてしまわないよう、内側にちゃんとズボンとの結束を図るためのベルト通しがついています。襟の形状は一般用に近い形状になっていて、正面から見れば、一見一般用に見えます。ただ、一般用と異なるのは第1・第2ボタンがマジックテープになっていること、あとウエストの絞込みが空挺用と同じ紐で行うタイプになっていることで判別が出来ます。袖口は一般用と同じボタンタイプになっています。
ズボンは、空挺用に非常に良く似た作りになっています。裾に小ポケット、各ポケットタブ形状は直線形でスナップ止め、臀部生地が2重など。ただ、小ポケットは右裾のみ、スナップの頭が剥き出しになっているところで、空挺用と判別出来ます。本来、装甲用の戦闘服は、難燃性を強化するために、非常に厚い生地で出来ています。しかし今回入手したこの服は、一般用に近い(同じでは無いようだが)生地で作られており、現役戦車乗員曰く「やや薄手の生地で出来てますね」とのこと。やはりPX品なので、その辺は仕方ないところでしょうか。
この迷彩服にも、耐熱(難燃)性と対赤外線ステルス性(近赤外偽装)が付与されています。ただ、こちらもその辺は「戦闘装着セット」として支給されたもののみ。 近赤外偽装が施されているものは裏側に大きくその表示がされています。最近では、一部仕様変更された「3型」の導入が始まっています。
こちらも中古の正規放出品で程度の良いものはほとんどありません。新品はPX品が流通しています。
★写真(PX品)
迷彩服2形と同時に採用になったこれらの装具は「〜2形」、また「戦闘装着セット」のものは「戦闘〜」と呼ばれています。旧型が綿、ビニロンでできているのに対し、2形はナイロン、ポリエステル(ただしPX品です。官品は?)でできています。デザインは米軍のLC2に近いものになっていますが、「2形迷彩」の化繊生地を多用しているのが特徴です。弾帯のバックルはもろLC2(初期型)と同じ形状です(改良の予定あり)。
つりバンド=サスペンダーもLC2にそっくりのY型ですが、ショルダーパットが2形迷彩の化繊生地でできています。最近はパット内にテープ芯を入れ込むことで、表面も新迷彩の柄になるように、また金具類も合わせて改良されています。
なお、取り付け金具の違いで、米軍の弾帯には使えません。サスペンダーを買うときは自衛隊の弾帯も一緒に買いましょう(^o^)弾入れ(弾納)・携帯シャベル覆い・救急品袋のふたは、旧型と同じスナップでとめるタイプ。生地は2形迷彩と同じ柄のポリエステル製(PX品)で、弾帯への取り付けは米軍と同じタイプの金具(スライドキーパー)で簡単に行えます(旧型の弾納はループに弾帯を直接とおすタイプ…結構面倒でした)。
携帯シャベル覆いは三つ折タイプ用、救急品袋もこれまでの横型から縦型になっています。
また、弾入れには64式小銃用、89式小銃20連用(2形)、89式小銃30連用(1形)あり、それぞれに“大”(2本収納用)と“小”(1本収納用)が存在します。なお拳銃装備者用には拳銃用弾倉2本を収納する拳銃用弾入れがあります。弾入れなどの初期のものは生地に穴が開きやすく不評なところもありましたが、現在は裏に厚手の生地をあててあり、改善の跡が見られます。
官給品の携帯シャベル(エンピ)はOD色の三つ折タイプで、市販の米軍用等とほぼ同サイズ(代用可能)。
水筒はこれまでのアルミ製からポリ製のものに変更(カップは従来と同じアルミ製)。
飯盒は従来のものに比べ約2/3のサイズにコンパクト化。蓋に持ち手が追加されて利便向上が図られています。PX品はミリタリーサープラスショップ等で入手可能です。官品の放出品も時折流通しています。
★写真(PX品) ※携帯シャベル本体は中古放出実物
迷彩服2形(戦闘服)などと同時に「戦闘装着セット」のアイテムとして採用になったものです。当初はOD色の軍手に近赤外偽装を施したものでしたが、平成13〜14年ごろから、手の甲がニットの迷彩柄布を使用、手のひらがスエード状の革を使用した皮手袋に変更されています。これまでの軍手タイプのものは棘のある植物を握ったりすると、棘が取れなくなり苦労させられたものですが、ようやくそのような苦労から開放されたわけです。手のひらの一部は二重に革が当ててあり、摩擦の多いある程度ハードな使用にも耐えられるようになっています。
このほかにも、従来の空挺手袋とほぼ同仕様の「空挺用」と、これまたこれまでの戦車手袋とほぼ同仕様の「装甲用」があります。また防寒用に「防寒戦闘手袋」や「防寒戦闘手袋、保温用」などもあります。中古品は時折市場で見かけます。類似品(手の甲が新迷彩柄)の皮手袋が市販されていますので、それらで充分代用可能です。
★写真(展示品)
これも、迷彩服2形(戦闘服)などと同時に「戦闘装着セット」のアイテムとして採用になったものです。これらが支給されている部隊でも、普段はこれまでの(旧型)半長靴を使用していることも多いため、駐屯地に行っても意外と見かけません。ただ、PXでは私物用として販売されているものを見かけます。
色は旧型とおなじコゲ茶色です。ただ、スピードレース式のはと目を採用したことで脱ぎ履きはかなりスピーディーにできるようになりました。上端部にズボンの抜け出し防止のすべり止めゴムが付いたのも大きな特徴です。
ただし、現在は「戦闘靴2形」へと更新が進んでおり、この戦闘靴も徐々に姿を消していくものと思われます。中古の正規放出品で程度の良いものはほとんどありません(まあ、中古の靴は水虫が怖いですが)。新品はPX品が流通しています。
★写真(PX品)
戦闘靴2型
平成14年度以降、支給が始まっている“新”戦闘靴。これまでの茶皮からナイロン素材に黒皮を合わせた、より近代的な靴に生まれ変わっています。これまでの戦闘靴と大きく異なるポイントとして挙げられるのが「靴底」。これまでの比較的細かいラグパターンから、粗い目のブロックパターンに変わり、高い廃土性とそれに伴う高いグリップ力を備えています。全体のデザインは米海兵隊現用のものに似ていますが、靴底は米軍のパナマソールと海兵隊現用タイプを足して2で割ったような感じです。また防水透湿素材の使用により高い防水性を備えているのも、これまでと違う大きな特徴です。
旧来の戦闘靴は1970年代から使われてきた半長靴の「マイナーチェンジ」のようなものでしたが、この戦闘靴2形は外観だけでなく機能的にも実質的な「フルモデルチェンジ」であり、その意味で初の「本格的戦闘靴」であると言えるでしょう。
派生型として空挺用がありますが、こちらは一般用のスビードレース部分の金具の数が大幅に増えているほか、ナイロン部分も黒革になっています。
ただし、この「2型」については素材の透湿性があまりよくなく隊員から不評であったようで、現在では大幅に透湿性を改善し静電気の帯電防止機能を付加した「3型」の導入が進められています。中古の正規放出品は、私自身まだ見かけておりません。新品はPX品、レプリカ品が流通しています。
★写真(PX品)
いわゆる2形装具類の1アイテムとして採用された新型雑納。「戦闘装着セット」のものは「戦闘雑納」と呼ばれています。旧型の雑納に比べ、小ポケットや装具類取付け用のテープが追加されるなど、非常に細かい部分に配慮がされており、全体として大変使いやすい作りになっています。背嚢等への結束を考慮し、ストラップ、止具等にも工夫がされています。
なお、初期のものは上部(フタ)に取り付けられている「提げ手」部分が破けやすい構造になっていましたが、最近のものは縫い付け部や負荷がかかる部分に厚手の芯が当ててあり、改良の跡が見受けられます。
PX品はミリタリーサープラスショップ等で入手可能です。官品の放出品はあまり見かけません。
★写真(PX品)
「戦闘装着セット」の新型背嚢。73式背嚢の横長タイプに比べ、バランスの良い縦長タイプに改良されています。容量は40リットル前後。フレームが内蔵されており、安定した使用が可能になったものと思われます。73式に比べ細かい部分に配慮されており、大変使いやすい作りになっています。背嚢上部には雑納を結束できるようになっています。また、これ(1形)に、結束できるディバック風で小型の2形背嚢もあります。
現状において、残念ながら入手はほぼ不可能です(今のところPX品も存在しません)。PX品またはレプリカの登場に期待!
★写真(展示品)
戦闘背嚢の空挺用。一般用に比べ大型に作られており、独立的な活動の多い空挺部隊の特性に適合するように作られています。空挺降下の際は写真のようにハーネスを利用して体の前面腰下装着し、降下中は足の下に吊るします。降下後は一般の背嚢同様に背負って使用します。背負った状態で使いやすいよう、一般用同様にフレームが内蔵されているほか、背中・腰のパットが一般用に比べ強化され、容量の増加に対応しています。
現状において、こちらも残念ながら入手はほぼ不可能です(今のところPX品も存在しません)。PX品またはレプリカの登場に期待!
★写真(展示品)
「戦闘装着セット」のアイテムとして採用されたボディーアーマー。自衛隊で初めて本格的に導入されたボディーアーマーです。
基本的なデザインは米軍PASGTタイプの物をモデルとしていますが、表生地に2形迷彩を採用しているほか、89式小銃の30連弾倉収納ポケット(外側が2本用、内側が1本用、全部で6本収納可)、さらに射撃に影響を与える右肩パットや首の防護を図る襟の大型化、背中上部の偽装材取付け用ループ、また背中下部の装具類取付け用ループなど、細部にわたり自衛隊独自の工夫と改良が施されています。事実上、防弾に加え「集約チョッキ」(タクティカルベスト)と同じような役割を果たすと言え、1992年の採用当時としては比較的先進的な思想のもとに作られています。
襟にはドーラン(フェイスペイント)などの汚れ防止用として取り外し可能なカバーがついており、芸の細かさに驚かされます(^_^;)肝心の防護性能については一切公表されていませんが、概ね米軍の物に準じていると思われます(基本的に対砲弾破片用?)。
尚、任務に応じて防弾効果を補強するアタッチメント、派生型等がいくつか存在しています。最近のイラク派遣部隊などに支給されているものにはプレートが内臓されており、対小銃弾耐弾能力があるものと思われます。中古の正規放出は当面(多分、さらに“新型”が採用されるまで!?)無いでしょう。PX品も当然のことながら存在していません。手先が器用な人は米軍のPASGTボディーアーマーを改造して、自作してみるのも面白いかもしてませんね(^o^)
防弾効果の無いレプリカ品(外観は同仕様で作られています)や、映画の小道具として製作されたものが一部で出回っています。ちなみに、本物の「戦闘防弾チョッキ」の国への納入価格は10万円前後/着とのこと。
★写真(展示品)
〜番外〜
航空自衛隊野戦迷彩服
1988〜89年あたりから目にするようになった航空自衛隊の迷彩作業服…正式名称は「野戦迷彩服」。基地警備・防空や警戒等の任務にあたる際に着用されるものですが、整備要員用の“整備服”や、従来のグレー色・新しい濃緑色の作業服とは別物。
デザイン的な大きな特徴は、上着が4ポケットタイプであることと、上衣前の合わせファスナーからボタンに変更されたところ。また、グレー色の作業服では無かった肩章がつけられています。それ以外のつくりは旧来の作業服とほとんど違いが認められません。ズボンのデザインは旧来のものと全く同じです。
しかし、この上衣の4ポケット化で、上衣裾をズボンから出して着用するスタイルになったため、着用時の印象は大きく変わったように感じられます。
ちなみに、靴は陸自とほぼ同規格ながら黒色の半長靴、または半長靴とは異なる“編上靴(ヘンジョウカ)”と言う、踝のところまでのショートブーツを着用します。
弾帯その他の戦闘用各種装具は、概ね陸自の旧型装具と同じです。迷彩パターンは、一見ウッドランドに似た配色の大柄なもの。しかし、良く見ると陸自の旧迷彩の色調を変更したものであることがわかります(旧迷彩に比べ、青みを押さえ黄色を足したような色調)。待ち伏せをして襲いかかるような戦闘をしない限り、かえってこの様な大柄のパターンの方が良いとも言われています。
この迷彩の関連アイテムとしては、鉄帽覆い(66式または88式用)、作業帽、外衣(フィールドジャケット&オーバーズボン)が存在します。中古の正規放出はあまり目にしません。新品はPX品が一部で流通しています。
(Special Thanks ヘロヘロさん)
★写真(PX品)
その他のアイテムについては、逐次紹介していきます。 お楽しみに!