第2回陸上自衛隊の小銃(その2)

 

 

大変長らくお待たせ致しました。陸上自衛隊の小銃(その2)…私の至って個人的な現役時代の思い出をご紹介致します。
最初におことわりしておきますが、私が自衛隊に在籍していたのは、もうかれこれ10年以上前の話。カッコイイ新迷彩もないし、鉄帽も66式(昔ながらのヤツ)。当然、小銃は64式7.62mm小銃でした。
私が使用していた64式小銃は1970年製。その当時でも製造されてから十数年たっており、傷だらけかつ磨かれて銀色に輝く、ちょっとくたびれた古参兵のような、大変味を感じる銃でした。

写真の銃は、結構黒々していて程度いいです(笑)。 多分、訓練にほとんど使われたことがない予備のものでしょう。
この銃がどれ位訓練に使われると、“銀色”に変わってしまうのだろう?(笑) 個人的にそんな実験をしてみたくなる衝動にかられる私って、変…ですか???(…充分に変人)

●64式7.62mm小銃(実物です)

 

以下、小銃にまつわる思い出を、武器授与式〜分解整備〜戦闘訓練〜射撃予習〜実弾射撃と勝手にまとめました(^o^)

 

 

 

武器授与式

有事の際、自衛官は武器を持って戦闘することで、最終的に我が国を防衛します。その任務を果たすために自衛官が入隊して最初に貸与される武器が小銃です。
一応、それを貸与されるにあたり、
授与式と呼ばれる儀式があり、入隊したばかりの隊員は、そこではじめてホンモノの銃を手にします。いや〜、私の場合、結構ドキドキしたことを覚えています。それまで手にしたことがあるのはオモチャだけでしたから(^_^;) 
教育隊長(一般的には中隊長)から
「銃!○×▲○◆(=各銃のシリアル番号)!!」と言われて小銃を手渡され、同じ文言をそのまま自分で復唱しなくてはならないのですが、復唱の際、緊張のあまり思わず“噛んで”しまったことを覚えています。でも、自分にとって、自衛隊生活で最も思い出深い瞬間であったことには間違いありません。

 

 

分解整備

銃を貸与され、最初に覚えなくてはならないのが、この分解整備。
当然のことながら、黙っていても手が勝手に動くようになるまで反復させられます。
64式小銃は部品点数が多いことでも有名。慣れない頃は、分解結合で、中には部品を無くしてしまう者も出てきます。万一、部品を無くしてしまうと当然のことながら大騒ぎ!見つかるまで徹底的に探しますが、出てこないと大変なことになります(弁償ですめばよいのですが…)。ちなみに私は幸いにしてそのような目にあうことはありませんでした(^_^;)

個人的には鉄砲が大変大好きであったので、銃の分解整備をしている時が“一番幸せな時間”だったのは言うまでもありません。お陰で私は分解結合のスピードは誰にも負けませんでしたでも、今では何の役にも立たないのが、ちょっと悲しい…)。

 

 

戦闘訓練

自衛官たるもの、戦闘訓練は避けて通れない道。だれもが必ず泥まみれ、ホコリまみれになって敵の陣地に突撃します(笑)。
そんな時は当然、傍らに小銃があります。

自衛隊では訓練の際、小銃をものすごく丁寧に扱うように指導されます。
早駆け(全力疾走)から停止し地面に伏せる時など、米軍だと「銃床を地面に叩きつけ」て勢いを殺すようですが、自衛隊でそんなことをしたら、あとで恐怖の体力練成(…の内容はご想像にお任せします)が待っています(+_+)  
米軍と自衛隊で、その辺の違いが一体どうして発生したのか、私にはわかりませんが、実銃ほど頑丈でないオモチャの鉄砲を使用するサバイバルゲームをやるにあたっては、自衛隊式の動作が身についていることが、大変役に立っているのも事実です(笑)。

訓練の際、私のいたところでは空砲はあまり使いませんでした…というより使わせてくれなかったように記憶しています。ほとんど(と言うとオーバーかもしれませんが)“口鉄砲”=「バン!」と口でいう…で訓練していました。自衛隊の有名な川柳で「たまに撃つ 弾が無いのが たまに傷」なんてのが流行ったのもこの頃です、確か。“口鉄砲”って、気力がある限り弾切れの心配がないのが最大のメリット(!?)。なにしろ口で「バン!」というだけですから何とでもなるわけですから(^_^;)
まあ、その辺の事情は職種にもよるとは思うのですが、最近の自衛隊はどうなんでしょうね?(…だいぶ変わったとは聞きますが)

でも、空砲用のアタッチメントを付けて連発射撃(機関銃のような撃ち方)をさせてもらったこともあったのですが、その時の気持ちよさは今でも忘れられません(^o^)!
今となっては、いい思い出になっています。

 

 

射撃予習

“射撃予習”って言葉は、自衛隊経験のある一部の方を除いて、一般の方が聞いてもピンとこないのではないかと思います。
射撃予習とは、実弾射撃訓練の前などに、空砲、実弾等の弾薬を使用しないで、照準、撃発等の射撃要領について訓練することを言います。“弾を撃たずにいかに射撃練度を上げるか”という、税金を無駄遣いしないための(ホントかい?)究極の射撃訓練です(笑)。 使用する訓練機材はいくつかありますが、皆至ってシンプル…でも詳細は一応内緒にしておきますね(^_^;) 

その訓練法の中の1つで非常に面白かったのが、“10円玉”を使った訓練。“10円玉”の使い方は簡単。銃身の上に載せるだけ!これを落とさないように引き金を引くことで、射撃精度に大きな影響を与える撃発時の銃の揺れやブレを抑えることが出来るのです。多分、射撃競技などをされている方は、この方法をご存知の方もいらっしゃるのではと思いますが、自衛隊に入って初めて実銃の射撃について教わった私にとっては、結構驚きの訓練(練習)法でした。

 

 

実弾射撃

実際の戦闘状況に近い状態で射撃を行う“戦闘射撃”訓練以外、通常の実弾射撃訓練は大概屋内の射場で実施されます。
射距離は通常300m。私のいたところは200mまでしか距離がとれない射場だったのですが、それでも人の胸から上のシルエットを象った“F的”は、銃の照準具(照門、照星)を通して見ると点にしか見えません。初めての射撃の時は、そんな小さな的に弾を当てるなんて、とてもじゃないですが信じられなかったのが率直なところです。
しかし、これが意外や意外、結構当たるんです!! 私の場合は概ね80%以上の確立でF的に当てることが出来ました(^o^) 
もっとうまい人は、それこそほぼ100%…実銃はコワイ!! 
“狙われたらお終い”ということを実感として思い知らされました。

実弾射撃訓練で、面白い経験が出来たのは“監的勤務”のとき。
“監的勤務”とは標的の真下の塹壕に隠れていて、的の弾痕を確認したり(弾痕表示)、その穴を塞いだり(治痕)する勤務のことを言います。 そう、標的の真下にいるということは、射撃の際、頭上を実弾が通り過ぎていくわけで、普通の社会ではまず味わうことの出来ない体験を得られます。初めて監的勤務についたときは、その感覚が一体どんなものか、結構ドキドキでした(笑)
射撃が始まると、まず頭の上を音速を超えた実弾が「パン!パン!!」と非常に乾いた、まるで爆竹のような音を立てながら通過。その直後、遠くから鈍い射撃音が聞こえ、下手なヤツが射場の天井に弾を当てようモノならパラパラとその破片が降ってくる…。う〜ん、不気味な迫力!でも、それもなかなかオツなものだった、かな?(オイオイ…)。

…実弾射撃&監的勤務を通じて「実弾が飛び交う戦場って、こんな感じなのかな…」って勝手に想像してしまう私でした(+_+)

 

以上。今回は、ここまで!

 

 




次回は、この春の「〜関東地方〜駐屯地祭めぐりの旅」(!?)をご紹介する予定です。

予定はあくまでも予定。気まぐれで突然変更することもありますので、その辺はご容赦を(^_^;)

2000.6.12up

 

 

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