陸自個人装具コレクション入門
〜購入方法と注意点〜

「これらの陸自個人装具品はどのように入手されているのですか?」という質問のメールをよくいただきます。そこで主な購入方法と、コレクションをしていく上での注意点などをまとめてみました。

以下、ご参考にしていただければと思います。

 


PX品とは

自衛隊の個人装具をコレクションする際、よく“PX品”という単語を耳に(又は目に)します。PX品とは、基本的に駐屯地内の委託売店(PX)で販売されている自衛隊訓練用品(個人装具類)の総称のことです。官給品だけでは装具や被服が足りない場合に自費で私物品として購入するものです。
PX品には防衛庁共済組合品とそうでないもの(以後、便宜的に“非共済品”と記します)があり、前者は主に共済組合の直営売店、後者は主に民間が経営する訓練用品店で販売されています。

以前は、共済組合品と非共済品の差はほとんどなく、共済組合のタグの有る無し程度の違いしかない場合が多かったのですが、最近の非共済品は材質が若干異なったり(例:ポリエステル→ナイロン)しているものが大半です。
ただし、非共済品も、それ以外については自衛隊の仕様書に基づいて作られているものですので、官給品や共済組合品に準じて、訓練等で使用されています。

これらはあくまでも「私物品」=私有財産ですので、退職時に国へ返還する必要はありません。退職時や不用の際にどう処分しようと所有者の勝手となっています。また、これらの一般における売買を規制するものはありません。ネットオークションなどでよく「自衛官から譲り受けました」と記載されているものの大半は、このような“PX品”です。

 

官給品とは

官給品とは、国から各隊員に支給(正確には貸与)される装具・装備品を指します。
所有権は当然国にあり、隊員は退職時に国へ返納しなければなりません。
返納された物品は破損時の交換補給用にあてたりしていますが、傷みが激しいものについては“不用決定”され、タグの取り外しや裁断等を入れた後、民間の廃品業者等へ払い下げられます。

 

購入方法

1)新品

新品については、一般(もちろん駐屯地の“外”)のミリタリーショップの一部でPX品が購入可能です。
基本的に一般のミリタリーショップで購入可能なのは“非共済品”。以前は共済組合品若しくはタグ無しの共済組合品同等(非共済)品も販売していたことがあったのですが、新迷彩の版権問題が表面化して以降、これらは姿を消しています。
取り扱いをしているミリタリーショップでは、極一部のアイテムを除き、ほとんどのものを揃えることが可能ですが、値段がやや高いのが難点。ただし、手っ取り早く装具を揃えるのには大変便利です。
何より新品ですし(^_^)

 

2)中古品

サープラス(払下中古品)を扱うミリタリーショップ(いわゆるサープラスショップ)の一部で購入可能です。これらのショップで販売しているのは、不用決定され払い下げられた官給品もしくは中古のPX品。不用決定で払い下げられたものの中にはPX品には無いアイテムなどもあり、その辺が一番の魅力。また新品に比べ当然安価なものが多いので、予算的に厳しい場合はこちらを選択するのも手です。
ただし、当然それなりに傷みがあるほか、払い下げ後の用途を限定するための裁断が入ることもあるため、その補修跡があったりします。また、当然のことながら“最新”アイテムは、流通し始めるまでにそれなりの時間がかかります。

 

ショップの見つけ方

月刊「コンバットマガジン」(WPP刊)などに広告が載っています。
自衛隊関係のものは、以前、旧装備の時代はほとんど人気が無かったこともあり、もともと取扱店が多くありません。なかなか見つけにくいかと思いますが、目を皿のようにして探してみてください(^_^;)

 

気をつけるべきこと

1)横流し品

一般のミリタリーショップやサープラスショップで購入する場合、また品物がPX品の場合は、この辺の心配はありません。
それ以外の個人売買における“官品”“レアグッズ”と呼ばれるものの場合は注意が必要と考えます。
特に新迷彩をはじめとした新型装具に関しては、以前マスコミでも取り上げられたこともあるほど、横流しの発生が問題となっていました。最近では綱紀粛正や管理の徹底で、横流しをするような不心得者はいないと思いますが…。
横流し品は“盗品”ですので、事情を知った上で購入すると刑法の“賊物故買”の罪に問われるだけでなく、購入したものを直ちに元の所有者(=国)に返還する義務が民法上生じます(当然購入代金は返ってきません)。

「疑わしいな?」と思うものには手を出さないのが基本ですが、どうしても欲しいものであれば、入手経路に問題が無いことの確認をお奨め致します。
盗品と知らないで購入した(善意の第三者である)場合は、通常、刑事責任を問われることはありませんし、また、購入したものを返還する際は、元の所有者に対して購入に要した費用を請求することも可能です(もしトラブルに巻き込まれた場合は必ず弁護士などしかるべきところにご相談ください)。
入手経路に問題ないことが確認できない場合は、どんなに欲しいものであっても、購入はあきらめましょう。

 

2)着用にあたって

迷彩服や作業服(もちろん制服も)、き章などは政令・通達等で公に定められたものです。
これらを悪用をすれば軽犯罪法違反(官名詐称)となりますので注意が必要です。自衛隊のものだけでなく、米軍やその他の国のものについても同様ですので気をつけてください(この辺は意外と知られていないのですが)。
軽犯罪法の条文では“着用”を処罰の対象としていますが、法律の“濫用防止”が定められていますので、悪質性や悪意が無い場合は、それほどうるさく言われないのが現状のようです。
ただし着用にあたっては、やはり充分な注意を払う必要があると言えるでしょう。

 

 

 

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